学研教室における幼児指導のスタンス
先日、幼児指導の研修が行われました。その内容を一部ご案内いたします。
いつになくお堅いイメージの文書になりますが、これからお子様が幼児期を迎える保護者の方にも、今現在奮闘中の方にも参考になれば幸いです。
幼児教育をとりまく環境
国の政策・指針
文部科学省の学習指導要領では、幼児期に育みたい資質・能力を次の3つの柱にまとめています。

- 知識及び技能の基礎
幼児が多様な経験を通して、感じたり考えたりする中で「自分に何ができるのか」を知ることが大切です。 - 思考力、判断力、表現力などの基礎
気づいたことやできたことを試し、工夫しながら表現する力を育みます。 - 学びに向かう力、人間性など
獲得した知識や技能をどのように活かすかを考え、より良い生活を送るための探求心を育てます。
また、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」も示されています。
- 健康な心と体
- 自立心
- 協同性
- 道徳性・規範意識の芽生え
- 社会生活との関わり
- 思考力の芽生え
- 自然との関わり・生命尊重
- 量・図形、文字等への関心・感覚
- 言葉による伝え合い
- 豊かな感性と表現
「幼児教育と小学校教育の架け橋プログラム」
幼児期から小学校教育へスムーズに移行するため、年長から小学1年生の2年間を「架け橋期」と設定し、小学校1年生の学習や生活を幼児期の教育の発展として捉え直し、幼稚園、保育園、小学校が連携して継続的に支援する取り組みが進められていま。
この取り組みが注目されている背景には、「小1プロブレム」という問題が深く関係しています。
「小1プロブレム」
小1プロブレムとは、小学校1年生が入学直後に学習や生活面で適応困難を抱える問題です。具体的には、
- 授業に集中できない
- 友達と関係を築けない
- 日常のルールに馴染めない といった課題が挙げられます。
主な原因
- 精神的な幼さから集団行動が難しい
- ストレス耐性や生活習慣が未発達
- 家庭での教育力の低下
- 担任の指導方法が適切でない
- 保育園・幼稚園と小学校の教育内容のギャップ
これらの課題に対応するため、幼児期からの教育の工夫が求められています。
「ペリー就学前プログラム」
幼児期の教育は将来の人生に大きな影響を与えることが研究で示されています。特に、
- 幼少期に「非認知能力」を高めることが重要
- 自制心や協調性、粘り強さといった能力が、将来の学力や社会的成功に結びつく といった点が注目されています。
幼児教育の環境まとめ
このように現在では、学習指導要領の改定にもあるように社会が求める人材像の変化、家庭環境の変化にともなう子どもの発達への影響、小1プロブレムといった教育現場からの要望などにより、幼児をとりまく教育指針や学びの環境は親世代の受けたものとは大きく変わってきています。
学研教室における幼児指導の考え方
学研教室の教育理念
学研教室では、子どもたちが学ぶ喜びを感じ、自信を持つことができるよう、個々の能力に応じた学習を提供し、確かな学力の育成を目指しています。
幼児指導目標
- 思考力の基礎を育む
教科学習の土台となる思考力を鍛えます。 - 表現力の基礎となる「言葉の力」を育む
言葉を通じて、考えを伝える力を養います。 - 自学自習の姿勢を身につける
自ら学ぶ習慣を幼児期から育てます。 - 学ぶことの楽しさを体験する
学ぶ喜びを知り、学習に対する前向きな姿勢を養います。
現在の学力観と幼児教育の関係
近年、学力とは単なる知識量ではなく、
- 読解力(意味を読み取り、内容を理解する力)
- 表現力(意見や理由を相手に伝える力)
といった「言葉を使いこなす力」が重要視されています。
幼児期の学習は、小学校以降の「思考力・判断力・表現力」の基礎となります。単にひらがなの読み書きや計算を学ぶのではなく、小学生になってから「生きた学び」を実現できるような資質を磨くことが大切です。

非認知能力が取り上げられる以前から、学研教室では『学びの木』に象徴されるような学力向上に必要な力を意識した指導を続けています。
幼児教育をとりまく環境は変わっても、指導要領の改定で教材は多少変わっても、学研教室の指導システムは大きく変わっていません。それは学びの本質を大切にしてきたからこそ、いつの時代でも通じる学びを提供していることにほかなりません。
学研教室の指導モットー
- 「あせらず、ほめて、欲ばらず」
- 「ゆっくり、じっくり、ていねいに」
学研教室では子どもたちの成長に合わせた指導を行い、幼児期からの学びを大切にしています。
そのためにも小学校の学習に間に合わせるためだけの指導ではなく、また知識を増やすことだけに注視するのではなくこの先の学びに必要な土台を育むことをなにより大切にしているのです。
