高学年からの反抗期とは
教室の開室から6年経過し、高学年・中学生の会員の割合が増えてきたこともあり、「注意したら文句を言われる」「返事をしない」「定期テストのアドバイスをしてもやろうとしない」といったご相談を受けることも増えてきました。そこで、高学年から中学生にかけて訪れる反抗期の特徴とその対処法についてまとめてみようと思います。
反抗期は子どもが心理的な自立を目指す上で出現する健全な成長過程で、小学校高学年から中学生にかけて始まります。この時期の反抗期の特徴としては、低学年での自己中心的なイヤイヤ期とは違って、大人の言うことに疑問を感じたり、親よりも友人との関係性を重視したりするという特徴があります。
親としてはこのまま親子関係が悪化していくのではと不安を感じるかと思いますが、一般的には高校生ぐらいまでには落ち着いてくると言われています。しかし、ここで親の対応がうまくいかず親子関係が悪化すると、反抗期が長引き、さらなるトラブルを招くことがあります。今回は、親が気をつけるべき5つのポイントをお伝えしようと思います。
反抗期の対処法
親子関係を良好に保つための5つのポイント
- 親の考えを押し付けない
- 期待と現実のギャップに注意する
- コミュニケーションを増やす
- 夫婦関係のすれ違いを減らす
- 親自身の自己肯定感を高める
1.親の考えを押し付けない
・親の考えが間違っている場合→親の知識が誤っている、または時代遅れのことが意外とあることを知る
例)漢字・英単語をひたすら書いて覚える(学年、学習能力によってやり方を変えるほうが良い)
・好みの問題でどちらでもいい場合→自己選択を優先させてあげる
例)宿題をする時間、ご飯の前か後か
・親の考えが正しい場合
例えば、字をていねいに書く、やることを後回しにしない、というような場合が考えられます。
一方的にやり方を押し付けると子どもは自分の意見を聞いてもらえないと感じます。
子どもがそういった気持ちになっていると親が正しいとか間違っているとかを考えるよりも、親の言うことに屈するかどうかという不毛な戦いになりやすいです。そういった敵対関係ではなく協力関係になるにはどうしたらいいかを考えることが重要です。
- 子どもの気持ちに耳を傾け寄り添うこと、なぜしようとしないか意見を聞いてあげる
- 正しい提案をしたとしても採用するかどうかは子ども次第と考える
- 言い方・伝え方を工夫する(命令ではなく提案、押し付けるのではなく誘うような言い方に)
大人の考えを押し付けてああしろこうしろというと子供は結局やらないし、やらないことでお互いの関係がギスギスしていき、けっして良いことにならないのでイライラする気持ちをまず抑えて伝え方を工夫してみることを考えましょう。
ちゃんと子どもの気持ちが聞けていればそれに合わせた提案ができるはずです。
ただし「伝え方を工夫してあげたんだから、ちゃんと言うことを聞きなさいよ」とか心の中で思ってるようではダメです そういう気持ちは子供に見透かされ、「言うことを聞いたら負け」と子供が思ってしまうので、うわべをかえただけでは状況が変わることはありません。
「やるかやらないかは本人の問題だしアドバイスはする。必要なら手伝うけどやらないなら仕方ないね」
という開き直りのような心構えを私たち親の側が持つことが必要です。
2.期待と現実のギャップに注意する
親が「テストで80点以上取ってほしい」と期待する一方で、子どもが60点を取った場合、親は失望しがちです。失望やイライラが態度に出ると、子どもは「自分はダメだ」と感じ、自己肯定感が低下します。
ここで親が「60点取れた部分を褒めて、次はもう少し頑張ろう」と声をかけることで、子どもはプレッシャーを感じず、前向きに挑戦する意欲が湧きます。親は子どもの現状を受け入れ、「あるがままの我が子」を尊重することが大切です。
あるがままに受け入れるために意識したいことは子どもの「優れた部分」ではなく、「この子のこういうところが好き」に目を向けることです。
3.コミュニケーションを増やす
共働きで忙しい親は、つい「宿題は終わった?」などの学習チェックばかりになりがちです。こうした一方的な質問だけでは、子どもは「親は成績しか気にしていない」と感じ、心の距離が生まれます。親が「最近どんなことが楽しい?」と尋ねたり、子どもの趣味や友人関係にも関心を持つことで、日常的な会話が増えます。
親子の信頼関係を築くためには、勉強以外の話題にも耳を傾けることが重要です。こうすることで、子どもは「自分に関心を持ってくれている」と感じ、自然と心を開きます。
普段から他愛のない会話が多い家庭は親子関係もぎくしゃくしにくいですし、子どもの国語力やコミュニケーション能力も高い傾向があります。それとあわせて「背中に手をそえる」「手を繋ぐ」といった身体的な接触によるコミュニケーションも子どもの安心感が向上するので意識して行ってみるのもよいでしょう。
4.夫婦関係のすれ違いを減らす
育児の方針で夫婦の意見が合わない場合、子どもに悪影響を及ぼすことがあります。たとえば、片方の親が「塾に通わせたい」と主張し、もう片方が「塾は不要だ」と反対するケースでは、子どもは混乱し不安を感じます。こうした状況を防ぐためには、夫婦間で育児方針を話し合い、意見のすり合わせを行うことが必要です。少なくとも子どもの前では、意見が一致している姿勢を示すことが、子どもに安心感を与えます。子どもが育つ家庭環境は、安心感を感じられる場所であることが望ましいため、親同士の協力が不可欠です。
5.親自身の自己肯定感を高める
いろいろ原因を探っていった結果、親の自己肯定感の低さが根本的な要因だったということが実は多いようです。
あてはまる項目があるでしょうか?
□ 子供が失敗することを恐れて過保護や過干渉になっているケース
□ 親自身の欠点・失敗を子供の成功で補おうとしてしまっているケース
□ 他人からの評価に敏感になり感情的に不安定になっているケース
□ 自分に対しても他人に対しても批判的になりがち、それが子どもに対して出てしまうケース
親が自己肯定感を持てないと、子どもが失敗することを恐れ過保護になったり、自分の欠点を子どもの成功で補おうとしたりする傾向があります。「自分は良い親ではない」と感じている方ほど、子どもの成績や不得意な部分に落胆しがちです。そんな成績で気分が変わる親の姿を見ていると、子どもも「自分はダメだ」と感じやすくなってしまいます。
ですから、親自身が自分を肯定し、「できたこと」に注目することがとても大切で、結果的に子どもの自己肯定感を育むことができます。親自身が自分を褒めることが心の余裕に繋がり、結果的に子どもへの良い影響を生むことになるのです。
「親自身が自分を肯定する」というのは具体的にどうすればいいのでしょうか?
たとえば、今の世の中情報過多なので「親としてやった方が良いこと」なんて探すと無限に出てきます。
そしてあれもやらなきゃ、これもやらなきゃとなって、でも結局できないことの方が多くて、自分は親として至ないところだらけダメなんだっという気持ちにさせられてしまうことが多くありませんか?
そうではなく、できたことに気づく、できたことを発見する取り組みを意識的に行ってみましょう。
やって当たり前と思っていることの中に私がんばったと思えることはたくさんあるはずです。
学研教室では前回の面談で親の自己肯定感を向上するための「非認知能力ワーク」という冊子を提供しました。気になる方はお気軽にお問い合わせください。
■まとめ
反抗期における親子関係の改善には、親の態度と心の持ち方が大きく影響します。普段の人間関係でもそうですよね、喧嘩腰に意見を言われたら返す側の語気も強くなるし、丁寧に接しられたら優しい言葉が返ってくるものです。丁寧な言葉で接しても荒い言葉が返ってくる反抗期の子に、親が同じ土俵に立って喧嘩腰になっていたら関係が悪化するのは目に見えています。子どもの自立を尊重し、親自身も心の余裕を持つことが大切です。
当てはまることがあったら改善に取り組むヒントにして頂ければと思います。
子どもが勉強を嫌がるのと同じように、分かってはいるんだけどなかなか実行に移すことは難しいですよね。人間って変わりたいと思ってもそんなにすぐには変わらないものです。それでも、小さな一歩を踏み出すことが大切です。まずは少しずつ意識を変えてみるところから、そして「今日はどんなことがあったのとか?」とか「最近どんなことが楽しいと思う?」といった他愛のない会話から始めてみてください。
「いや…べつに…」という返事を聞くために(笑)